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Contents
ヲタクに恋は難しい 5巻とは?
出版社:一迅社
発売日:2018/2/2
作者 :ふじた
隠れ腐女子の成海とゲーヲタの宏嵩の恋愛模様を描いた超人気ヲタ恋もついに5巻!! 二人で映画に夏祭りとあんがい順調に恋人してると思いきや…宏嵩の弟・尚哉と友人の光に問題が発生! 誤解をとくために非ヲタの尚哉が決死のネトゲにダイブ!? また成海がレイヤーデビュー(?)する怒涛のコミケ編を含む約40Pの描き下ろしもたっぷりと収録!! はたして成海の新刊は間に合うのだろうか? そしてコスプレ姿をみた宏嵩の反応は…(ハートマーク) ヲタクな人も、そうじゃない人もたくさん笑って恋がしたくなるときめきキュンキュン熱盛ィィィッ!! な内容でおとどけいたします!!
ヲタクに恋は難しい5巻のネタバレ
Episode….31のネタバレ
覚えられない
昼休憩中、いつものようにゲームをしていた宏嵩(ひろたか)。
そこに同僚二人が、昼飯一緒にいい?と席に座ってくる。
宏嵩は名前がわからず、少しの間ぼーっとしてしまう。
まだ名前を覚えてもらってないと察した同僚二人は、前に飲みにいったじゃん!とそろそろ覚えてほしいようだ。
ちなみに一方は、宏嵩のデスクの隣だと悲しそうに自分を指差す。
そう、この二人は三巻で樺倉と共に飲みにいった二人である。
二人の必死の訴えに、人の顔や名前を覚えるのが苦手だと一応謝る宏嵩。
RPGだったらマップの端の小さな村の名前まで一発で覚えられるけど…という言葉を、宏嵩はなんとか飲み込んだ。
でも成海(なるみ)とはよくつるんでるじゃないかと突っ込まれる。
二人は何故宏嵩が、成海と仲がいいのか不思議なようだ。
宏嵩は「つきあってるからです」という言葉も、何とか飲み込んだ。
成海に、会社では絶対に付き合っていることを言うな!と強く言われているからだ。
そこで宏嵩は、成海と仲がいいのは俺に限ったことじゃないと話を流す。
成海は基本的に、誰とでも仲がいいのだ。
しかし同僚二人はまだ納得がいかない様子で、宏嵩に質問を続けた。
自他ともに認めるゲーヲタである宏嵩と、普通のコミュ力高い系女子…に擬態している成海。
ゲーム以外に話が出来なさそうな宏嵩が、成海と何を話しているのか周囲には想像ができないのだ。
宏嵩はいつもの成海との会話を思い出したが、到底言えるものではない。
そこで宏嵩は、幼なじみだから話しやすいことや成海の趣味が広いからゲームの話にも乗ってくれるんだと答えた。
趣味の幅が広いというのは、二人も納得したようだ。
休憩中にもよく本を読んでいる成海を思い浮かべる二人に、宏嵩は心の中でそれはBL小説だと思った。
突然の質問を謝る二人だったが、実は宏嵩と成海が付き合ってるという噂があったから聞きたくなったのだと言われる。
宏嵩はそれに驚き、慌てて否定した。
改めて、成海のコミュ力を褒める二人。
なによりも小柳(こやなぎ)と樺倉(かばくら)と普通に話していることが、すごいと思われる大きな原因のようだ。
それを不思議に思い、どういう意味かと質問する宏嵩。
二人は小柳と樺倉のことを想像し、あの二人は最恐ツートップだろう?と話す。
宏嵩はそういわれ、なるほどと思った。
面倒見がよく真面目だが、とにかく圧がすごい樺倉。
そして仕事が早くて真面目だが、隙が無さ過ぎてとっつきにくい小柳。
何よりも小柳と樺倉がよく言い争ってるので、とにかく怖いイメージが付きまとうようだ。
それを間近でいつも見ている成海と宏嵩は、やはり尊敬に値するようだ。
宏嵩は同意しながらも、小柳と樺倉が部活でキャプテン同士だったことを話す。
周りの印象を大切にする二人だから、それが威圧的に感じるのかもしれないと何気なくいう宏嵩。
そんな宏嵩の言葉を、同僚二人は唖然と聞いていた。
ゲームにしか興味がなさそうな宏嵩が、ちゃんと人のことを見ていたことに驚いたのだ。
宏嵩のことを誤解していたかも、と反省する同僚二人。
しかし宏嵩は、実際興味のないものは全然見ていないし同僚の名前も覚えていない…と言ってから慌てて飲み込んだ。
既に言ってしまった後なので、そういうトコだぞ!と怒られた宏嵩であった。
そしてとりあえず、名刺交換をすることにした。
Episode….32のネタバレ
成海からのお誘い
土曜日の終わり、いつものように家でゲームに励んでいた宏嵩のスマホがメッセージの受信を告げた。
相手は成海で、今日は何をして過ごしていたのかと質問される。
今日やっていたゲームの内容を完結に説明すると、複数のゲームをはしごしていたことを成海は察したようだ。
そして成海は、宏嵩の明日の用事を聞いてきた。
「ヒマだったら映画でもいきません?」そのメールに宏嵩は一瞬浮足立った。
そしてすぐにその考えを打ち消す…ないない、あるわけない。
どうせアニメ映画だといいながらも、宏嵩は成海にヒマだと返信をしたのだった。
いいかもしれない
宏嵩は成海と共に、映画館に来ていた。
昨日、入場者特典ほしさに一人で二回映画をみたという成海。
それなのにまさかの推しが来ず、困っていたのだという。
今回二人で挑んだ三回目の映画で、宏嵩が無事推しを引いてくれたのだ。
成海は推しのポスカにスリスリしながら、宏嵩に全開でお礼を言っている。
映画のお誘いに、少しだけ期待を寄せていた宏嵩。
期待が薄いことはわかってはいたが、やはりヲタク案件だったことに少しだけショックを受けているようだ。
目当てのものが手に入ったのなら、もう映画を観る必要はないのでは?と思う宏嵩。
しかし成海は、好きな作品の映画でなるべく空席を作りたくないという理由で三度目の鑑賞をするようだ。
どちらかというと女性向けの映画だけど、ちゃんと良作だから宏嵩にも観てほしいのだと力説する成海。
宏嵩は結局、一緒に映画鑑賞をすることとなった。
映画が始まったものの、落ち着かない様子の宏嵩。
そして宏嵩は思っていた。
映画……好きじゃないんだよなぁと。
宏嵩的には、90分の拘束時間はとても長いのだ。
タバコも吸えないしゲームもできない、そして成海がせっかく隣にいるのに話ができない。
そう思いながらふと隣に視線を向けた宏嵩は、ぎょっとした。
成海がぐすんぐすん言いながら号泣しているのだ。
昨日既に二回観ているはずの成海…宏嵩は唖然としながらも尊敬した。
成海は『好き』はいつも温度が高いと思った。
笑ったり泣いたり、いつも全力で感情が動いている成海。
自分には熱くて、触ることが出来ない。
だけど宏嵩は、成海のそういうところが好きだったりするのだ。
宏嵩は、再会したころに一緒に飲んだことを思い出していた。
元カレに既に新しい彼女が出来ていたの話をしていた成海。
『なんでいつも間違えちゃうんだろう』と隣で悲しんでいた時、宏嵩は成海に触れることが出来なかった。
だけど今は…宏嵩は隣にいる成海の手に、自分の手を重ねる。
泣きながら宏嵩のほうを向いた成海に、宏嵩は手を目のところに当てるジェスチャーを返す。
成海の熱い手を感じながら、90分は案外短いかもしれないと思った。
周回プレイ
身体を乗り出して、目を光らせた成海。
宏嵩に、今なんて言いました?と謎の圧力をかける。
宏嵩は身体を若干後ろに引きながら、嫌な予感を感じていた。
イイエイガダッタネ…って、ともう一度感想を述べる宏嵩。
すると成海は顔をキラキラさせながら、実はね…と話し出した。
推しの相方がまだ来ていないということ、そして夜の部が16時から始まるということ。
宏嵩がヒマだったらでいいといいつつも、断れない雰囲気だ。
そして宏嵩はもう一度、90分の映画を観たのだった。
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Episode….33のネタバレ
お祭りに行こう!
鳥居の前、浴衣姿で一人立っている成海。
そこにテンションの高い若者が、成海に声をかけてきた。
よかったら一緒にまわらない?と近づく若者…ナンパというやつだ。
成海は待ち合わせをしていることを伝え、すみませんと謝るが若者はめげない。
あまりにぐいぐいくるので、成海は困っていた。
心の中で私はあなたたちより年上だと思いながらも、へらっと笑いを張り付けてうまく断れない成海。
そこへ浴衣に身を包んだ小柳が、スッと間に入ってきた。
お姉さんたち忙しいの、と華麗に断る小柳に成海はキュンキュンしている。
若者は、年上の友だちなんだね~と笑いながらもまだあきらめない様子だ。
そこに現れた、樺倉と宏嵩。
180センチ越えの二人…特にとにかく顔が怖い樺倉に圧倒されて、さずがに若者は無理だと悟ったようだ。
すみませぇん!とワタワタと去っていった。
遅くなって悪かったと謝る樺倉に、成海は何もされてないから大丈夫だという。
何かされてからじゃ遅いのだと、ちゃんと拒否しないとダメだと小柳は成海を注意する。
しかし成海は、わかっているのにどうしてもヘラヘラしてしまうのだと謝った。
宏嵩と樺倉は、確かに職場でもその癖が出ていると思った。
そんなことより!とごまかす成海。
みんなの浴衣新鮮でいいね~と話しをすり替える。
シックな雰囲気の小柳に、サクッと着こなす樺倉は二人ともとてもカッコイイ。
宏嵩も浴衣を着ていることに、成海は驚いたようだ。
祭りにも絶対こなさそうな宏嵩が、浴衣など持っているはずがないと思ったのだ。
宏嵩も持ってるわけないよね!と開き直っている。
今日の浴衣は尚哉(なおや)に借り、なんと着付けまでやってもらったらしい。
宏嵩は着付けをしてもらったとき、尚哉の様子が少しおかしかったことを思い出す。
しかし成海に言うことでもないだろうと話すのをやめる。
成海は兄弟で着付けということで、邪な妄想がよぎった。
しかし宏嵩に言うことでもないだろうと、話すのをやめた。
お祭りに向かうことにすると、樺倉ははぐれないようにと声をかける。
成海は宏嵩に「だってよ!」というが、宏嵩は「成海だろ」というのだった。
一服タイム
射的に金魚すくい、ヨーヨーにお面にかき氷。
一通りまわって楽しんで、宏嵩は賑やかな場所から少し離れたところで一服していた。
そこへ樺倉がやってきて、ビールを差し入れだと持ってきてくれる。
成海と小柳は、たいやきを買いに行ったようだ。
疲れたんじゃないか?と普段こんなところに来ない宏嵩を労う樺倉。
カシュっといい音を立てて樺倉のビールは開いたが、なかなか開けることができない宏嵩。
樺倉は見かねてサクッと開けてくれた。
二人で映画に行ったことを聞いてくる樺倉に、宏嵩は気のない返事を返す。
映画は好きじゃないと言っていた宏嵩が、成海と映画に行ったことを樺倉は驚いているようだ。
樺倉は宏嵩に、俺は嬉しいんだと笑った。
宏嵩のことを、よくも悪くも人に影響されない男だと感じていた樺倉。
今更他人に合わせたり歩み寄ったり…そういうことが、宏嵩には難しいんじゃないかと感じていた。
だけどそんな宏嵩が、成海のために少しずつ変わろうとしているのを感じて樺倉はとても嬉しいのだ。
思わず笑ってしまう樺倉に、突っ込んだ宏嵩。
宏嵩はぽつぽつと話した。
変わっていっているのは、自分ががんばったからとかじゃないのだ。
きっかけをくれる人たちがいたから、自分でも動くことができた…そうなっていった。
それを聞いた樺倉は、わしゃわしゃと宏嵩の頭をなでるのだった。
そこに小柳が戻ってきたのだが、小柳は成海がいないことに驚いたようだ。
屋台に並んでいる間にいなくなったという成海。
樺倉と宏嵩は、顔を見合わせたのだった。
成海のピンチ
マジか…と成海は一人ぼやく。
あまりに凄すぎる人混み…流れに流されてしまった成海は、完全に小柳とはぐれてしまっていた。
小柄な成海には小柳を探すことが難しく、成海は宏嵩くらい身長があれば…と思った。
そんなには離れていないはずだと成海は思うが、元の場所に戻れるだろうかと不安になる。
とりあえず小柳に連絡しようとスマホを取り出そうとしたところで、後ろから声をかけられた。
成海の肩に手をかけたのは、なんと先ほど成海をナンパした若者だったのだ。
Episode….34のネタバレ
ヒーロー現る
「また会えたね~」と成海に馴れ馴れしく声をかけてくる若者。
成海はまた微妙に笑いながら、さっきの…と返事をした。
この人混みで再会できるなんて運命じゃね!?と盛り上がっている若者たち。
成海は苦笑いを浮かべることしかできない。
そんな中、「態度で拒否しなきゃダメよ!」と小柳に注意されたのを思い出す成海。
若者の手をパシっと払い「失せな!」っと成海はかっこよく決める。
……のを想像したが、言えるわけがなく。
成海は精一杯冷たくあしらいながら、スマホで小柳に連絡を取ろうとする。
しかし若者たちは楽しそうについてきて、成海にラインを教えてくれとせがむ。
成海は焦りながら、必死で場所をつたえるメールを打つ。
その瞬間、成海の腕を無理やり掴み引き留める若者に成海は身体を強張らせる。
成海は笑いを張り付けることも出来ず…怖いとおもった。
目を固く瞑り、宏嵩の名前を心の中で呼んだその時。
成海の腕を掴んでいた若者の手は、宏嵩によって離されていた。
成海をかばうように立つ宏嵩の姿は、成海の瞳にしっかりと映る。
宏嵩のデカさにたじろいだ若者たちだったが、やんのか!とケンカ腰になっている。
宏嵩は少し考えた後、冷めた表情で「うしろ。」と若者の後ろを指差した。
先ほどの樺倉がチラついた若者たちは、青ざめて後ろを振り返る…が誰もいない。
そしてまた宏嵩と成海のほうを振り返ったが、そこにももう誰もいなかった。
成海と宏嵩は、近くの茂みに隠れていた。
お互い声を出さないように、お互いの手で口をふさぐ成海と宏嵩。
若者たちは苛立ちながらも、その場を離れていった。
若者たちの気配が消えたのを感じて、息をつく二人。
いやぁ…かわいすぎるのも困りものですなぁとごまかそうとする成海に、宏嵩はばかやろうがと怒る。
成海はまた笑いながら、違うんだと弁解しようとする。
しかし宏嵩はそんな成海の手を掴んで、自分のほうへ引き寄せた。
「また出てるよ。あのクセ」そういい宏嵩は、成海を抱きしめる。
バクバクいう心臓…怖かった?と宏嵩に言われ、成海は宏嵩に縋りついた。
そして宏嵩も「…おれも…」と消えそうな声で言った。
そうなのだ、宏嵩はか弱いゲーヲタなのだ。
成海は自分と同じように心臓をバクバクさせている宏嵩を、心配したのだった。
宏嵩は、自分の顔が樺倉レベルで強そうだったらすみやかに対処できたのにと感じる。
そして成海も、自分も樺倉の顔だったら自力でなんとかできたのにと言う。
もはや魔除けの樺倉…宏嵩は成海が樺倉の顔だったら、ナンパはされないだろうと思った。
早く戻らないと怒られる、と樺倉と小柳のところに戻ることにした二人。
怒られるのが確定している成海は、気が重いなと思う。
宏嵩は成海の頭に乗っかった葉っぱを取りながら笑った。
「一緒に謝ってやるから帰ろう」そういわれた成海は、穏やかな表情の宏嵩から目が離せなかった。
無事に樺倉たちと合流し、しっかり謝った成海。
帰り路、隣に並ぶ宏嵩の横顔を成海は見つめていた。
そして、自分の中の音が止まないことを感じていた。
その時成海のスマホのメール音が響き、成海は盛大に驚いた。
メールは尚哉からだったのだが、内容を見た瞬間成海は目を血走らせた。
実は成海に相談したいことがあるという尚哉。
もうどうしたらいいかわからない…そんなメールに成海は居ても立っても居られない。
今行くよ!!尚ちゃん!!とすぐさま走り出した成海を、今何時だと思ってんだと宏嵩はなんとか止めたのだった。
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Episode….35 friends…1のネタバレ
成海の本音
グループラインの通知が鳴り、宏嵩と樺倉はそれぞれ確認をした。
そこには『なるとデートなう』という小柳のメッセージと共に、ツーショットの写真が送られている。
その成海の表情が、あまりに微妙なので二人はすぐさま返信をした。
コミケ用の買い出しか?と勘がいい樺倉。
そしてただひたすら成海の顔に、草を生やしている宏嵩。
どういう感情?という宏嵩の問いに、成海は腹くくった時の顔だと答えた。
そして色々察した樺倉は成海に、なんかごめんなと連絡をするのだった。
カフェで打ち合わせがてらお茶をする成海と小柳。
張り切って計画を話す小柳。
今回は小柳が成海の分も全て作ってくれるので、成海は同人誌に専念していいようだ。
成海はコスプレが初めてで、小柳も人のを作るのが初めての経験。
試着会ということで宅コスもしてみたいと小柳は話した。
成海は先ほどの『腹をくくった顔』で、如何様にも!と答える。
小柳に自分で用意してほしいものも伝えられた成海。
胸への詰め物も忘れずに準備だ。
成海は、仰せのままに!と覚悟を決めるのだった。
そんな成海を前に、小柳は口を開いた。
本当にイヤだったら、そういってほしいと。
小柳は誘い方が強引だったことは自分でもよくわかっていた。
小柳にとっても、こういうことが話せる友だちが初めてで…。
やりたい気持ちはもちろん本当だが、嫌な思いをさせるほうが辛いのだと小柳は笑った。
そんな小柳の手を成海はギュッと掴んで、違うのだと言った。
確かに恥ずかしいし緊張もしている成海。
そのためにどうしても、顔が強張ってしまうのだ。
だけど成海にとっても、小柳は初めてできたヲタク友だち。
誘ってくれて本当に嬉しかったのだと小柳に伝えた。
嫌だなんて思っていないと言えば、小柳は嬉しそうに顔をほころばせた。
しかし成海は、でも…!!と頭を抱えた。
「今以上に趣味が増えたらと思うと、正直こわい!!」
そう本心をつたえると、小柳は嬉しそうに「それは保障できないな~」とにやけたのだった。
成海は大好きなものが沢山あるのに、何一つ我慢できないタイプのヲタクなのだ。
コスプレなんて明らかに深そうな沼にハマってしまったら、成海はリアルに破産である。
そんな成海に小柳は、楽しいから大丈夫よと力技でねじ伏せる。
小柳は成海の本心を聞けて、ほっとしたようだ。
やっと安心できたという小柳に、ずっと気にかけてくれたのかと感動する成海。
しかし次の瞬間、これでやっと本気だしてレイヤー沼にひきずり込めると恐ろしい笑みを浮かべた。
成海は、許してと思ったのだった。
そのころ男たちは
ピロピロリ~ンとレベルアップを告げる音が響き、樺倉は驚いた。
成海と小柳がデートをしている間、二人はいつものゲーム中だ。
宏嵩とエリアを周るとメキメキ上がっていく樺倉のレベル。
樺倉がなんか怖いとぼやくと、宏嵩は成海にも同じことを言われたという。
次の大型クエストが始まるまでの時間、別エリアで時間をつぶすという宏嵩。
どうするか宏嵩に聞かれ、ちょっと待ってくれと樺倉は慌てた。
樺倉は『持ち物がいっぱいです』状態らしく、アイテム断捨離をしないとアイテムを持ち帰れないようだ。
成海もよくエリアで棒立ち状態で、アイテム整理をしているのを宏嵩は思い出した。
今日小柳は成海を連れ出していることを、宏嵩に謝る樺倉。
昼間からオンゲに誘ってきた宏嵩に、相当ヒマしていると感じたようだ。
しかし昼間からビール飲みながらゲームするのは、宏嵩の通常運転なので問題ない。
それに成海が楽しそうにしているからいいと、宏嵩はぼやく。
樺倉はそれに同意しながらも、小柳の前では言わないようにと釘をさした。
それを聞いたらきっと、大喜びでスカートをもってきそうなのだ。
ゲームの中ならなんでもきるんですけど…と準備完了した宏嵩。
お待たせと振り返った樺倉は、宏嵩のアバターを見て驚いた。
一人で遊ぶ用のサブキャラだというアバターは、いつもの緩いのとは打って変わりイイ女風だ。
樺倉は、いいなあ!!と興奮したのだった。
お祭りに行こう!
一方、衣装用の布を見に来た成海と小柳。
衣装をイチから作っているという小柳に、成海は興味津々だ。
始めのころは通販で済ませていたが、サイズがなかったり費用が高くついたりしたらしい。
そのため、作れるものは作ろうということで勉強したのだと小柳は布を選ぶ。
サイズがない…というセリフに、成海は思わず小柳の胸を凝視してしまった。
自作で作るというのは、やはり毎回大変だ。
しかし苦労して作った衣装に身を包んだ時の達成感と、幸せな感覚が小柳は忘れられないのだ。
何よりも、衣装を作っている間ずっと推しのことを考えているのだ。
推しに『捧げた』という満足度がものすごいのだと小柳は語る。
それに激しく同意した成海。
成海も同人誌の内容を考える時に推しのことをとことん掘り下げる。
気づくと朝になっていることもあるのだが、結局尊いということに落ち着くようだ。
買い物を終えた二人は、沢山の荷物を持って歩いていた。
結構買ったと思った成海だが、小柳的には少なく済んだくらいようだ。
同じ金額を、普段の洋服に使おうとは思わないのに不思議なものだ。
今日のお礼を言う小柳は、成海に新刊の進み具合を聞く。
成海は笑顔全開で、まだネームだと答えた。
Episode….36のネタバレ
泣かせてしまった
前にゲーセンに行ったとき、桜城(さくらぎ)が女子トイレから出てきたところに出くわしてしまった尚哉。
そっちは男子トイレじゃないよ…と一瞬考えた尚哉だったが、さすがにそんな間違いをするわけがなく。
尚哉はこの時初めて、桜城が女の子で自分が勘違いをしていたことを理解した。
尚哉は声をかけようと口を開いたが、それを遮るように「ごめんなさい!!」と叫んだ桜城。
そして桜城はそそくさとその場を去ろうと、何度も謝罪を口にしながら尚哉の横を通り過ぎていく。
焦った尚哉は、桜城の腕を掴んで呼び止める。
しかし振り返った桜城の目からは、涙がぽろぽろとあふれ出していた。
尚哉は困惑して、桜城の手を離した。
そして桜城は、一目散に走り去っていったのだ。
お祭りに行こう!
初めて人を泣かせた…と落ち込む尚哉。
お前が悪いとシンプルに答えた宏嵩に、成海は肘鉄を食らわせた。
追い打ちをかけるようなことを言う宏嵩に、励ます気がないなら引っ込んでいてくれと怒る成海。
しかしここは宏嵩の家だ。
そう訴えた宏嵩だが、だとしてもだと成海は譲らない。
尚哉はそんな成海を落ち着けるように、わかってるから平気だと話す。
仕事終わりに相談に乗ってもらったことを、謝る尚哉。
また何か余計なことを言いそうな宏嵩の口を咄嗟に塞ぎ、成海は話の続きを求めた。
一緒にいた友だちは、普通に桜城が女の子だと知っていたらしい。
一人には言ってなかったっけ?と言われ、もう一人は笑いが止まらなかったようだ。
そっちは男子トイレじゃないよ!と言わなかっただけよかったとフォローされたと話す尚哉。
あの日から大学にも来なくなってしまったという桜城が気になり、尚哉は頭を抱えた。
成海は尚哉に落ち着くように言うと、桜城は気まずいだけだと思うと笑う。
次に会えた時に謝れば、笑って許してくれると成海は思った。
しかし尚哉は必死に訴えた。
桜城は泣いてたんだと…傷ついたことをわかってあげられなかった自分。
また泣かせてしまうかもしれないと尚哉は感じていた。
ゲーセンで楽しそうに笑ってくれた桜城を思い出し、尚哉は悲しそうな表情を見せた。
成海は、だとしても話さなきゃダメだと尚哉に詰め寄った。
涙が出ちゃうのは、女の子だから仕方ないのだ。
きっと桜城も困っているはずだから、話すべきなのだ。
泣くのは一人で出来るけど、笑うのは一人じゃできないでしょ?と笑う成海。
尚哉はみんなで一緒に笑ったことを思い出し、成海にお礼を言う。
そして、ちゃんと話そうと思ったのだった。
尚哉の覚悟が決まったのはいいが、問題は桜城が学校に来ていないことだ。
学校に来てくれないと、話すこともできない。
すると宏嵩が、会いに行けばいいと突然立ち上がる。
そして奥の部屋へと続くドアをあけた。
ゲーヲタの行動は、ゲーヲタが良く知っている。
暇を持て余したゲーヲタがやることは一つと、ゲーム用のパソコンが置いてある部屋を示した。
ゲームが一つとは限らないから賭けではあるが、行ってみるに越したことはない。
ヒマな一日
その頃桜城は、ソロでゲームをプレイしていた。
ミッションも無事にクリアし、タイムアタックも自己ベストを更新。
それなのになぜかスッキリせずに、桜城はモヤモヤした。
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Episode….37のネタバレ
ゲーマー流の切り替え
もくもくとゲームをプレイする桜城。
無事ステージクリアをし一息つくと、桜城は天を仰いだ。
そこへ突然部屋の扉があき、夕食の時間だと声をかけられる。
桜城は死ぬほど驚き、身体を起こした。
入ってきたのは父親で、なぜかいつもそーっと物音を立てずに入ってくるのだ。
桜城はいつも気配を消して入ってくる父親を注意する。
しかし煩くしたらそれはそれで怒られるじゃないかと、お父さんはどうしたらいいのかわからないようだ。
桜城は今食欲がわかなかった。
後で食べると告げ謝ると、父親は大学で何かあったのかと扉からひょっこり顔を出す。
それともお父さんなにかやったか?と気にしているあたり、親子である。
桜城はそんなことないと話すが、少し前まで楽しそうだったから…と父親は桜城の様子が気になるようだ。
父親は、そのゲームはお父さんでもできるのかと聞いてくる。
しかし父親のパソコンのスペックだとやるのは難しい。
それをつたえると父親は、残念そうに戻っていった。
一人でのプレイが普通になる前に、父親とよくゲームをしていたことを思い出す。
その頃はまだなかなかクリアもできなくて、真剣に作戦を考えてやった攻略したものだ。
まだ二人とも上手くなく足の引っ張り合いだったけど…それを考えていたら、また尚哉とのプレイが頭をよぎった。
一人プレイに戻っただけだと言い聞かせるが、沈んでいく桜城。
桜城は気持ちを切り替えるため、もっと難しいエリアへ行くことにしたのだった。
突然の再会
レベルマックス限定のエリアは、出てくる敵も多く固い。
すると見えるところに、自分と同じようにソロでプレイしてる人がいた。。
この場所でソロプレイヤーは珍しく、更に弓使いという後衛クラスでソロなんて相当やりこんでいる人だと桜城は感じた。
しかしその割に動きはぎこちなく危うげだったので、桜城は少しだけ援護しようと攻撃をした。
その瞬間「こーくんっ!」とその相手が自分の名前を呼ぶ。
突然の身バレに衝撃を受ける桜城。
相手…尚哉は必死でチャットで話し出したのだが、タイピングが下手なので文がめちゃくちゃだ。
とにかく尚哉は、レベルが高いエリアには自分のアバターで入れなかったから宏嵩のアバターが借りていること。
そして、逃げないでほしいといっているようだ。
尚哉がパソコンで必死にタイピングしている後ろで、成海と宏嵩が見守っている。
成海はがんばれ!と力が入り、宏嵩はタイピングが遅く間違いだらけの尚哉に俺が打とうかと声をかける。
しかし尚哉は「いい!」と強めに断ったので、それに宏嵩は驚いた。
どうしても桜城と話したかったと話す尚哉。
桜城が何の反応も示さないので、宏嵩は桜城がタイピングできるのかと声を出す。
しかし成海に黙ってるように言われ、宏嵩は口をつぐんだ。
尚哉は前に覚えたアクションで、土下座をする動作をする。
そしてタイピングによって微妙になってしまっている言葉で、前のゲーセンでの出来事を謝った。
桜城のことを男の子だと思っていたこと、そして泣くほど傷つけてしまったことを詫びる尚哉。
それを見た桜城は、パソコンの向こう側で青ざめていた。
全て自分が悪かったのだと思っている桜城は、尚哉に謝らせてしまったことにパニックを起こしている。
しかも尚哉を自分のことでとても悩ませてしまったことに、申し訳なさが止まらずどう謝っていいのかさえ分からない桜城。
パソコンの向こう側ではものすごい動揺をしているのだが、アバターはクールな面持ちなのでそんな動揺を感じさせてくれない。
謝る尚哉に対し、凛とした様子で立っている桜城のアバター。
桜城は何か返事をしないとと焦っていた。
とにかく尚哉は悪くなく、気にしなくていいということを伝えなくてはと思った。
何とか打った返事だったが、形式ばった言葉を並べたために怒っているような雰囲気になってしまった。
それを読んだ尚哉と成海と宏嵩は、わりとオコなのではと沈黙してしまう。
一方それを送った本人である桜城も、送信してから読み直し自己嫌悪で消えそうになっていた。
その時、EMERGENCY!という表示と共に特殊エネミー出現のBGMが鳴り響いた。
なにこれとポカンとする尚哉に対し、逃げますよ!!という桜城。
この敵はランダムで発生する特殊エネミー。
こちらからの攻撃は一切通らないのに、ガード貫通の特殊攻撃を打ってくるという超理不尽なやつなのだ。
逃げて逃げてと焦る成海に、宏嵩に交代をお願いする尚哉。
しかし宏嵩も、ムリムリ少しでも止まったら死ぬぞととにかく逃げるしかないようだ。
標的が完全に尚哉になっているので、必死で逃げまくる尚哉。
桜城は敵の気を自分に向けようと攻撃をしてみるが、標的は尚哉のままだ。
数分で自然消滅するので、やはり逃げきる以外ないようだ。
そして、何とか逃げ切った尚哉。
無事に敵影は消失し、死ぬかと思ったと尚哉は倒れ込む。
尚哉を心配しながら、なかなか標的を移せなかったことを謝る桜城。
そんな桜城に尚哉は、やっぱり一緒だと楽しいね!と笑顔を向けた。
そして桜城も、うん!と素直に答えた。
無事解決した様子に、号泣する成海。
宏嵩はそんな成海にティッシュを差し出すのだった。
大学でみんなと
無事大学にも来てくれた桜城。
尚哉と桜城はまた、ゲーセンで一緒だった友人と学食で席を囲んでいた。
事の経緯をきいた友人二人は、そんな面白いことになってたのに何で教えてくれなかったんだと訴える。
尚哉は面白くなんてないといいながら、桜城が女の子と教えてくれなかった友人に怒る。
友人たちは、すっかり忘れていたようだ。
そんな中やっぱり謝っている桜城。
ゲーセン千円分おごるから許してと言われ、喜ぶ尚哉。
この後いこうと約束をする中、黙っている桜城。
そんな桜城に、尚哉は「今日遊べる?」と自然に声をかけた。
誘われた驚いた桜城は、いいの?と尚哉に聞いてしまう。
尚哉は意味が分からず、何が?とポカンとしていた。
そんな二人を見て笑ってしまう友人二人は桜城に、今日は俺と勝負しよう!と声をかけたのだった。
Episode….35 friend…2のネタバレ
逃走中
息を切らしながら走る成海と宏嵩。
もう走れないと弱音を吐く成海に、俺がついているからあきらめるなという宏嵩。
その時、パン!と乾いた音が響く…銃声だ。
追い付かれたかと膝をつく宏嵩。
行け!と成海に声をかけ、一人でも走り続けろという。
後ろからは、締め切りマークの付いた紙で顔を隠した樺倉が銃を構えて迫ってくる。
成海も銃を構え、使うしかないのか…割り増しを…!と焦る。
そこへ巨大な小柳の化け物が現れて、成海を捕まえた。
新刊のことはあきらめて、私の着せ替え人形になりなさいなと言っている。
…ベッドから落ちて目が覚める。
なぜかそんな夢を見てしまった、宏嵩なのだった。
宅コスをしよう
私のほうはこんな感じかな、と白いシャツを着た小柳。
大きな胸が無くなってしまった小柳を見て、成海は驚いた。
おっぱいはどうしたのか聞くと、つぶしたという小柳。
コルセットだけだと胸をつぶしきれないため、サラシを巻いて凸凹を潰しているのだそうだ。
いつもよりたくましいのは、肩パットも入っているからなのだ。
しかし沢山巻いているため、夏場は地獄なのだ。
成海のほうは?と小柳に聞かれ、自分の胸を見る成海。
服の中にリンゴを仕込んで、巨大化した成海の胸。
その時ズルっと胸が落ち、リンゴが転がった。
無表情で小柳を見つめる成海と、目を逸らす小柳。
どうしたらいいん?と問う成海と一緒に『胸 作り方』で検索をすることにした。
そしてネット上にあふれる胸の作り方に、絶対に胸を盛るという執念を感じた二人だった。
試着が無事に終わった二人。
あとは装飾や小物の準備をするようだ。
かなり時間に余裕を持って用意をする小柳を、尊敬のまなざしでみつめる成海。
小柳は追い込まれると心が折れるから、余裕を持って進めるようにしているのだそうだ。
成海は小柳に「ネーム進んだ?」と聞かれ、聞こえないふりをする。
できてるといえばできているのだが、なんだかモヤモヤしている様子の成海。
成海的に原作の設定が生かし切れていない気がしたり、受けがちゃんと攻めを好きなのか表現しきれていない気がするというのだ。
小柳的には問題なさそうに見えるものの、成海は悩んでしまっている様子だ。
そんな成海に小柳は、趣味は自分が楽しめてこその趣味だと話す。
趣味のために苦しい思いをしてしまったら、意味がないのだ。
それぞれのこだわり
小柳はウィッグを見つめていた。
想定していたものよりも、だいぶ色が明るいことが気になったのだ。
屋外に出たときのことを考えると、もっと明るくみえるかもしれない。
そうすると随分印象が変わってくるだろうと思った。
今からウィッグを発注しても間に合う時期ではあるが、小柳は余裕をもって合わせることを優先することにした。
その時、成海から着信があり電話にでる小柳。
成海は言った言葉に、小柳は驚いた。
もうほぼ出来上がっていたはずのはずなのに、またネームを見てほしいというのだ。
もう締め切りまで一週間だと言っていた成海。
小柳と別れたあの後から、寝る時間も惜しんでずっと直していたようだ。
小柳は成海に、どうしてどこまで?と聞いた。
成海は、小柳にあの時言われたことばを繰り返した。
自分が楽しめてこその趣味なのだ…だから成海は本気でやりたい、妥協したくないと思ったのだという。
成海から送られてきたネームを見た小柳。
最高の出来に頭を抱えて親指を立てた。
それを聞いた瞬間成海は、気を失うようにベッドに転がり込んだのだった。
小柳は、成海に感謝した。
好きなものを自分の手で表現するということは、そのための苦労すら楽しいことなのだ。
「よし!」と気合を入れなおした小柳は、とてもキラキラしていた。
そしてその日、小柳を労おうとメールを送った樺倉。
「進捗どうですか?」に対して、返信はなかったようだ。
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Episode….38のネタバレ
繁栄期
成海はタイピングをする手を止めて、凝ってしまった肩をほぐしていた。
この時期は仕事量が多いので、周りを見てもみんなそれぞれが忙しそうにしている。
すると樺倉が突然、成海のタイピングを褒めてくれた。
照れる成海だが、ミスの少ない安定したタイピングを感心したように樺倉は眺めた。
このスピードならツイートに十秒もかからないんじゃないか?と笑みを浮かべる樺倉。
成海を笑みを返しながら、まあ三秒あれば!と返す。
すると樺倉は、ビリビリした職場の状況でよく言えたな!と言い出す。
誘導したから!と理不尽を叫ぶ成海だが、余裕あるならこれも頼むと更に書類を追加されて固まった。
そして成海は、がんばるしかないと腹をくくったのだった。
そんなピリピリした空気の中、資料の作成が終わったと樺倉に確認を求めに来た小柳。
さっそく目を通す樺倉だが、社内メールで変更になっていた部分が変更されていないことに気づく。
謝る小柳に、中途半端じゃ二度手間になるんだと厳しく注意をする樺倉。
小柳は、謝罪をしすぐに訂正すると席に戻っていく。
そんな小柳に、樺倉は気まずそうに頭を抱えた。
席に戻った小柳は、怒りに震えていた。
ギリギリと歯ぎしりをし不機嫌丸出しの小柳に、ビビりながらも大丈夫かと声をかける成海。
いつものことだから大丈夫だと笑う小柳だが、もう脳内では四回刺したわと笑った。
成海は、脳内だけにしてあげてくれと思うのだった。
一服タイム
気持ちを切り替えてくると席を立った小柳。
小柳がタバコ休憩を取ることは珍しい…成海は相当キテることを察した。
小柳が喫煙コーナーで一服していると、樺倉が隣にやってきた。
小柳のほうを見ないものの、悪かったと謝る樺倉。
仕事が多くてイライラしてしまった樺倉は、キツイ言い方になってしまったことを気にしたのだ。
そんな樺倉の言葉に小柳は笑い、キャパが狭いのはお互い様だと話す。
それにねぇ!とスケジュール帳を樺倉の顔に押し付けた小柳。
今の時期は私は私で忙しいんだと主張する。
コミケの準備で忙しいため、樺倉のことをいちいち気にしている余裕はないのだ。
だから樺倉も、仕事に集中するようにという小柳。
落ち着いたらご飯くらい連れてけよ?と笑う小柳に、優しい表情を浮かべた樺倉。
小柳からタバコを奪い、そのまま捨てていく。
ケチ!という小柳に早くデスクに戻るように告げて、樺倉は戻っていった。
樺倉と入れ替わりに、死にそう顔の宏嵩が喫煙コーナーに入っていた。
あまりの顔に心配する小柳。
今日は今までタバコを我慢していたらしいのだが、そろそろ気がふれそうだとタバコを吸いに来たようだ。
深くタバコを吸いこむと、生き返った様子の宏嵩。
すぐに戻ろうとするので、そんなに急がなくても怒られないわよと声をかける小柳。
しかし宏嵩は、負けたら悔しいから戻るのだという。
誰にと不思議に思う小柳だが、相手は成海なのだそうだ。
成海はいつも雑念だらけのためポンコツだが、修羅場での集中力とスタミナはアスリート級だ。
ヲタ活で鍛えたそのスキルはもの凄く、実はYDKなのだ。
そのスイッチを自分で押せないだけだという宏嵩に、やはりポンコツだと思う小柳だった。
そのころ成海は、樺倉に押し付けられた書類をバッチリ仕上げていた。
Episode….35 friend…3のネタバレ
イベント本番!
電車を待つ小柳に、成海からメールが届く。
もう会場前に着いたらしい成海から、気を付けておいでとのメールだ。
こういう時はすごくしっかりしてるなぁと小柳は思った。
周りを見渡すと、同じ行先に向かうだろう人たちで溢れている。
小柳は同志たちに、心の中でエールを送った。
会場前に着くと、元気いっぱいの成海が小柳に挨拶をする。
しかし小柳は、挨拶の前にとサーチケを求め準備万端の様子だ。
入り口を通り、コミケにくると毎回ドキドキするという成海。
初心を忘れないのは大切だといいながらも、ここはもう戦場だと小柳はサングラスを外した。
サングラスの下はもう、ガッツリ今日の顔が作られていた。
新刊とのご対面
自分のスペースへ、小走りで向かう成海。
そのデスクの下に置いてある段ボールを見つけ、成海は勢いよく段ボールをあけた。
中には無事にできている成海の新刊。
印刷所の特急入稿の感謝をする成海だった。
成海は本を広げると、そこにバフっと顔をうずめた。
刷りたての同人誌のにおいの幸せに酔いしれる成海。
成海の同人誌を受け取った小柳も、においを嗅ぐのだった。
中身を確認しながら、反省点も見つける成海。
反省会は後でねと小柳に言われ、成海は設営に励んだ。
今日はコスプレもするので、何時頃に着替えに行くかの相談をする二人。
昼過ぎに売り子として宏嵩が来てくれるため、その後かなと話す成海。
小柳は売り子を引き受けるから、先に着替えて買い物に行くかと提案する。
昼頃は混雑するため、買い物も大変なのだ。
しかし成海はちょっと悩んでいる様子だ。
成海の心中を察した小柳は、成海の買い物リストを預かり買い物を済ませてくると話した。
そんなの悪いよという成海。
しかし、苦労して作った本を自分の手で渡したいという成海の気持ちを分かってくれた小柳。
リストを受け取って、カッコよく買い物に出かけて行った。
そんな小柳に「ありがとう」しか言葉が見つからず、頭を深く下げた。
設営完了した成海は、また一人反省会を始めたのだった。
買い物に出た小柳は、成海のものすごく計算された購入ルートに尊敬を覚えていた。
ちょうど宏嵩と樺倉も会場に着いたらしく、グループにメッセージが届く。
とりあえず成海のスペースに向かうという宏嵩と、着いているもののしばらく合流できそうにないという樺倉。
一時間並んでもまだ売り場が見えてすら来ないという樺倉の行き先は、西館なのだ。
察した二人は、お互い頑張ろうと告げるのだった。
成海のスペースに現れた宏嵩に、随分時間が経ったことを知った成海。
そこへ小柳も戻り、成海と小柳は着替えに行くことになった。
成海は宏嵩にスペースを任せると、宏嵩は後で写真を送ってくれと言う。
その貧乳がどれだけ盛れるのか見てみたいという宏嵩に、成海は今年一番のインスタ映えを誓うのだった。
撮影会!
無事にコスプレに着替えた成海と小柳。
次々に向けられるカメラに、緊張して汗をかいてしまうという成海。
リラックスして楽しみましょうという小柳の笑顔に、成海はその恰好でいうのは反則だと思った。
そして成海は、自分の盛られた胸を思い出す。
宏嵩に写真を送る約束をしていたため、自分用にも写真をもう一枚撮りたいと小柳に頼んだ。
一緒にバッチリ撮った写真を、ドヤと宏嵩に送った成海。
宏嵩の反応を想像するも、結局何と言われても恥ずかしいということに成海は気づいた。
祭りの終わり
コミケを無事に終えた成海たちは、終了後の独特のやり切った感を感じていた。
準備期間はあんなに長くてしんどいのに、本番は一瞬なのだ。
でも楽しかったね!と小柳に笑顔を向けると、小柳も笑顔を返した。
というわけで、打ち上げにいくぞ~!と今日の売り上げでおごると成海は張り切る。
なら寿司に行きたいという小柳に、それは許してという成海だった。
宏嵩は成海に声をかけた。
初コスプレはどうだったのか聞く宏嵩に、楽しかったと答えた成海。
しかし宏嵩が言いたいのはそういうことじゃなく、写真をずっと待っていたということだった。
写真をちゃんと送ったはずの成海だが、宏嵩に届いてないようだ。
サーっと青ざめた成海は、自分のスマホを確認した。
すると写真は、バッチリと送られていたのだ…まさかの尚哉に。
仮想パーティ?忘年会?と楽しそうに返信してきている尚哉。
成海は震えが止まらない。
宏嵩に弱弱しく声をかけると、宏嵩は全て理解したように忘年会で仮装大会したことにしておくと返事をくれた。
ヲタクに恋は難しい 5巻の感想
読むたびに毎回思うのが、宏嵩って本当に成海のことが好きなんだなということ。
映画館に誘われてちょっと期待してしまう宏嵩も、お祭りで必死に成海を助ける宏嵩も本当にいい…。
お祭りの木陰で抱きしめるシーンは、最高でした。
小柳と樺倉は、いつも通り素敵でした!
樺倉が小柳のタバコをスッと口から取り上げるシーンに愛を感じました…!
今回は念願の小柳と成海のコスプレもありました。
安定のカッコよさの小柳と、かわいく胸もばっちり仕上がった成海。
同じ趣味が楽しめる友だちって、最高だなあと思いました。
尚哉と桜城も、無事に仲直りできてよかったですね!
ふわふわしている尚哉が、真剣に桜城に話そうとタイピングをがんばるところが良かった…
宏嵩もいつもと違う尚哉を感じたみたいでしたね。
尚哉のことになると、モンペになる成海もかわいかった。
次の巻も楽しみです!
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