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ふれなばおちん 10巻とは?

出版社:集英社
発売日:2014/8/25
作者 :小田ゆうあ

思いのままに、生きていいのでしょうか。そんなこと、できません。できないから、苦しいんです。大切な人たちを傷つけてはダメ。私のこの気持ち、彼には届いていると思います。

 

ふれなばおちん 10巻のネタバレ

37話のネタバレ

最後の舞台

佐伯は女装のメイクを完璧に済ませ、集中していた。
 
夏はドキドキしながら客席に座っていたが、しばらくして幕が上がり舞台が始まった。
 
女装をした佐伯は美しく、女性になり切った演技は力強くもしなやかだった。
 
まるで別人のような佐伯に、夏は釘付けになった。
 
こんな人と心を通じ合わせることができたなんて夢みたいだと夏は思う。
 
やっぱり私には背負いきれないみたい…と夏は下を向いた。
 
こんな風にあなたを見つめるのは最後にしようと、夏は前を向いた。
 
そこで夏は佐伯と目が合った。
 
一瞬動きを止める佐伯。
 
佐伯はセリフを続けた。
 
そのシーンは、女性関係で悩む男性を佐伯が励ますというものだった。
 
私だったらこう言うよ…と夏の方を向いた佐伯。
 
好きだよ、と佐伯は言った。
 
俺は君を幸せにできないけれど、君が大好きだと佐伯は言った。
 
それはセリフにはない言葉だった。
 
佐伯は夏から目を逸らし、演技に戻ったようだった。
 
観客の女性陣は頬を赤らめて佐伯を見ていたが、夏は拳を握りしめ下を向いていた。
 
夏はもうこれで終わりにしようと決心したものの、後ろ髪を引かれたような気持ちになったのだ。
 
その日の打ち上げでは、佐伯の名演技を全員が讃えた。
 
夏はそこで、佐伯が所属している劇団が沖縄へ拠点を移すことを知った。
 
それはプロデューサーの信田が決めたことだった。
 
驚いている夏の視界に、佐伯が入ってきた。
 
佐伯は夏に目配せしてその場を去っていった。
 
夏はそれに付いて居酒屋のビルの屋上へと向かった。
 
ついに上条か佐伯か、選ばせようとしているのではないかと夏は思った。
 
モヤモヤした気持ちを表には出さずに、風が強いですねと夏は笑った。
 
俺の気持ち、芝居で届いた?と佐伯は聞いた。
 
夏は少し考えて、嬉しくて辛かったと答える。
 
今度は夏が佐伯に、沖縄へ行くのかと尋ねる。
 
佐伯はうなずいて、何にもできない俺に残っているのは芝居しかないと言った。
 
そして佐伯はそれでね…と言って夏の方を見た。
 
俺たちもこれで終わりだと、佐伯はキッパリ言うのだった。
 
その時、夏の中で何かが割れて砕けた。
 
佐伯は夏の頭を撫でながら、俺は大勢の目の前で好きだと言いたかったと言った。
 
でも夏っちゃんは俺には助けられないから、行くんだと佐伯は噛み締めるように言うのだった。
 
夏は混乱して支離滅裂な言葉を言った。
 
そんな夏を抱きしめ、忘れないよと佐伯は言う。
 
その後、少し笑いながら頑張って忘れるよと言い直した佐伯はそのまま階段を降りて行ってしまった。
 
取り残された夏は、まだ気持ちが整理できていなかった。
 
最近ずっと佐伯とは終わりにしなければいけないと思っていたのに、いざとなるとこんなに辛いなんて…と夏は崩れ落ちた。
 
夏は声を殺して泣きながら、この気持ちは絶対にここに置いていかなければと思うのだった。
 
そしてそれを陰で聞いていたのは、沖縄へ移転を決めたプロデューサーの信田だった。
 
 
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38話のネタバレ

夏の涙

信田は居酒屋の近くでタバコを吸っている佐伯を見つけ、隣でタバコに火をつけた。
 
佐伯はそんな信田の様子を見て、夏との一部始終を信田が見ていたことを察した。
 
あれでフったつもりか?と信田は佐伯に言う。
 
あんな生殺しのような別れ方をするならもう飽きたと言って憎まれて嫌われてこい、と話す信田。
 
しかし佐伯は諦めたように、小細工をしたって彼女は俺の本当の気持ちを見抜くよ…と言ってタバコを吸った。
 
信田は這いつくばって泣いていたのを見てしまったよとため息をつくのだった。
 
泣き腫らした夏はトイレで顔を洗い、飲み会には戻らず家に帰ることにした。
 
家に帰った夏の異変に気付いたのは優美香だった。
 
また泣いたの!?という優美香の声に、夏はぎくっとした。
 
しかし優美香は、佐伯の演技がそんなに感動的だったのかと笑った。
 
優美香に合わせて夏も微笑んだ。
 
それを見ていた上条は、母が戻ってきて嬉しそうな子供たちに目線を移して軽く微笑んだ。
 
夏はできるだけ普通にいようと努力した。
 

静かな別れ

次の日、佐伯はたまたま会った良と優美香を引き留めてカフェに誘った。
 
佐伯は学校の話で盛り上がっている2人を見て可愛いなと言った。
 
ずっとそんなでいてくれよなと楽しげに言う佐伯だったが、2人にはその言葉の意味は分からない。
 
子供扱いするなと反抗する良だったが、そういうところが良いんだと佐伯は言うのだった。
 
お前らの父さんと母さんがそういう風にしたんだなと1人で納得した佐伯は、その場を立ち去って行った。
 
会社に出勤した佐伯は上条に呼びとめられた。
 
佐伯が沖縄に行くと聞いて上条は話しかけたのだった。
 
一緒にタバコを吸いながら、上条は最後の最後まで本当の君が見えなかったなとつぶやいた。
 
そして上条は頭を下げて、子供たちや家族がお世話になったと頭を下げた。
 
妻を誘惑して欲しいと言われたことを、佐伯は思い出していた。
 
そして佐伯は少し黙った後、今でも奥さんに対して何だかなという気持ちですか?と尋ねる。
 
上条は頭をかいて、もともといい妻だったのかもしれないと笑った。
 
俺が気付いてなかっただけで、一生懸命で可愛い女だったんだと上条は嬉しそうに言うのだった。
 
佐伯は頭が割れるように気持ちがぐしゃぐしゃだった。
 
良かったな夏っちゃん…と心の中でつぶやいた佐伯はタバコの火を消してその場を去ろうとした。
 
上条はそんな佐伯に、家でご飯を食べないか?と誘ったが、佐伯はそれを丁寧に断った。
 
でも引っ越しの時に作ってもらった握り飯なら沖縄に行く団員も喜ぶかなと独り言のように言う佐伯。
 
上条は少し困ったように頭をかいて、妻は今寝込んでいるんだとつぶやいた。
 
夏は久しぶりに熱を出し、家で寝込んでいた。
 
時々夢を見るが、佐伯の夢は出て来なかった。
 
熱が辛いのか、佐伯と会えないのが苦しいのか、夏には分からなかった。
 
数日後、夏は自分で起き上がれるくらいには回復した。
 
トイレに行こうとして立ち上がった夏は、テーブルの角に鍵が置いてあるのを見つける。
 
この鍵…と夏が言うと、それは佐伯の家の鍵だと優美香は言った。
 
昨日引っ越したのだと優美香は教えてくれた。
 
それを聞いた夏は無心で家を飛び出し、佐伯の家のドアを開けた。
 
夏の頭の中には佐伯の言葉が響いていた。
 
遊びじゃないんだと言う佐伯の声に惹きつけられるように、夏は部屋の中へと歩いていく。
 
部屋の中は何もなかった。
 
夏は呆然として立っていた。
 
そこへ誰かが入って来た。
 
夏は人の気配がして佐伯ではないかと振り向いたが、そこにいたのは佐伯ではなく信田だった。
 
信田は少し驚いた後、ニヤリと笑ってどうにかお会いしたいと思っていたんですよと言うのだった。
 
 
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39話のネタバレ

信田のアドバイス

ここまで来て佐伯の余韻を探していたんですかと聞かれた夏は、何のことでしょうかとはぐらかした。
 
そちらこそどうして?と聞かれた信田は契約の紙を佐伯の代わりに届けに来たと言う。
 
そして今佐伯はインタビューの取材を受けていると言う。
 
 
夏に助言するかのように、信田は話し始めた。
 
俺は佐伯の演劇の才能を見込んでいるから、佐伯にいい演技をさせるためならどんなことでもする。
 
逆に、その邪魔になるようなことが全力で阻止したい、と。
 
それを聞いた夏は下を向いて、佐伯にとって私は邪魔なのだろうと思っていた。
 
しかし夏の予想に反して、信田は言った。
 
あんたが今抱えている佐伯への想いがあるなら、全力でそれを続けたらいいんだ。
 
夏は驚いて信田を見上げた。
 
信田はニコッと笑って、連絡先が書かれた名刺を夏に渡した。
 
今佐伯は事務所に寝泊まりしているから、用があればいつでもと手を振って信田は帰って行った。
 
また1人で取り残された夏は名刺を握りしめたまま立っていた。
 
もう終わりと佐伯に言われてしまった夏だったが、夏は未練で心がいっぱいだったのだ。
 
未練を捨てないと、と思えば思うほど佐伯の言葉が胸に響いてくる。
 
夏は涙を浮かべながら、もらった名刺をビリビリに破いた。
 
そして夏は急いで家へと帰るのだった。
 
真樹夫は中学校の入学式を迎え、ぶかぶかの制服を上条や優美香に着て見せた。
 
夏は入学式の準備に忙しかったが、スカートが閉まらないことに気付く。
 
結局安全ピンでスカートを留めた夏は優美香と上条を送り出した。
 
上条と学校へ向かっていた優美香は、最近お母さん太ったよねと言った。
 
隣の佐伯おじさんがいなくなったから…?と予想する優美香だったが、そんなことないかと言い直した。
 
そんなことを話しながら歩いていたら優美香の乗るバスが発射直前で、優美香は上条に別れを告げながら走って行った。
 
一方で入学式が終わった夏と真樹夫。
 
真樹夫は夏に、小学校の先生のところへ挨拶をしてくると言い走って行った。
 
夏は仲の良いママ友とカフェに行ったのだが、そこで夏はパンケーキとアイスを食べてしまうのだった。
 
その夜、佐伯と夏が別れたことをシゲから聞いた若林は大きな声で嘆いていた。
 
そして若林は落ち着いた後、夏のことを少し心配した。
 
若林であればお酒を飲んで荒れて忘れられるが、夏の場合はそれができないのだ。
 
若林の予想した通り、夏は酒を飲む代わりに部屋中を掃除して気を紛らわせていた。
 
何も考えなくて済むように、掃除とご飯を作り続けた夏。
 
そして食事中もストレスのせいか、夏は食べすぎてしまうのだった。
 
深夜になっても夏は眠ることができず、ミシンでカーテンを縫っていた。
 
優美香はそんな夏のことを少し心配そうに見ていたのだった。
 
夏はまだ寝られず、佐伯の部屋の鍵を開けて中に入り、小牧に電話をした。
 
1人になれるところが欲しくて合鍵を作ってしまったと言う夏に、それはギリギリだねと言う小牧。
 
もうちょっと復活するまで許して…と夏は涙をこぼした。
 
夏の心がボロボロで、失恋から立ち直る方法すらも夏は忘れてしまったのだ。
 
 
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40話のネタバレ

戻っていく夏

夏は次第に髪もボサボサになり体重も増えて行った。
 
近所の主婦たちはそんな夏のことを噂した。
 
家にずっといては気が変になりそうだと思った夏はアルバイトの募集に応募することにした。
 
しかし何件受けても、若い子しか取っていないから…と断られる夏。
 
疲れた夏はカフェに入りパフェを頼んだ。
 
店員はあんなおばさんが1人でカロリーの高いパフェを食べていることをヒソヒソと話して笑った。
 
夏はそれが聞こえていたけれど、お構いなしにパフェを口に運んだ。
 
甘さに救われるが、私って価値がないのだなと夏は思っていた。
 
家では優美香がジュースの空き箱をゴミ箱に捨てようとしていた。
 
そこで優美香が見つけたのは大量のお菓子の空き箱だった。
 
それは全て夏が食べたものだった。
 
優美香は空き箱を見つけて何かを決心するのだった。
 
次の日、夏は久しぶりに若林に会っていた。
 
若林は夏が急激に太ったことを知り、夏のメンタルは大丈夫なのかととても心配した。
 
そこで若林は夏をゲイバーに連れて行くことにした。
 
そこのママは相談相手にはぴったりだったのだ。
 
夏は初め笑って大丈夫だと言っていたが、少しお酒が入ると涙をこぼしながら泣いてしまった。
 
そんな夏に、大丈夫だとゲイバーのママは夏の頭を撫でた。
 
みんなあなたのことが好きよと言われた夏はさらに泣いてしまうのだった。
 
夏はそれから、自分を好きでいてくれる人がいることに気付き、もう一度綺麗になろうと決心した。
 
ランニングを終えた夏が家に帰ると、優美香や真樹夫は夏をリビングに呼んだ。
 
そこではテレビが放送していて、そこに映っていたのはなんと佐伯だった。
 
優美香たちは佐伯が気取っていると笑っていたが、佐伯を見た夏は固まってしまった。
 
またこんなところで会えたという喜びと、もう今は遠い人なのだという絶望が夏を支配していた。
 
 
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ふれなばおちん 10巻の感想

ついに2人は別れることになってしまいました。
 
佐伯がすぐに夏のもとを離れたのは、夏に涙を見せたくなかったからでしょう。
 
なかなか辛い別れになり夏は寝込んでしまうほど心を病んでしまいます。
 
体が楽になっても佐伯への思いを払拭できずに思い悩む夏。
 
もう忘れようと一歩を踏み出した夏でしたが、今度はテレビで佐伯の姿を見てしまいます。
 
燃え上がる夏の恋心は、一体どうなるんでしょうか。
 
次巻の展開に期待が高まります。
 
 
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