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青に、ふれる。 10話とは?
出版社:双葉社
作者 :鈴木望
生まれつき顔に太田母斑(おおたぼはん)と呼ばれる青いアザを持つ女子高生・青山瑠璃子。アザのことを気にしすぎないよう、周りにも気を使われないよう生きてきた。新たな担任教師の神田と出会った瑠璃子はある日、神田の手帳を目にしてしまう。クラスメイトの特徴がびっしりと書き込まれているのに、自分だけ空欄なことに気づいた瑠璃子は神田を問い詰めに行く。しかし、神田は“相貌失認(そうぼうしつにん)”という人の顔を判別できない症状を患っており――。
青に、ふれる。 10話のネタバレ
神田が助けを求めたのは…
相貌失認で人の顔がわからない神田。
普段は相手の服装や雰囲気で誰かを判断していますが、学園祭の最中と言うこともあり仮装している生徒もいたり生徒の保護者や他校の生徒など神田にとってはキツイ状況です。
そのせいで精神的に参ってしまった神田は助けを求めて校内を周り辿り着いた地学準備室。
そこにいたのはアリスの衣装を着た瑠璃子でした。
瑠璃子の姿を見つけて安心したように「良かった…」と呟く神田。
誰が誰だか分からなくて困っている神田の様子を気にしていた瑠璃子は憔悴している神田の様子に心配して「大丈夫ですか?」と声を掛けます。
はじめは大丈夫と言おうとした神田でしたが、実は人も多いし急に話しかけられても誰が誰だかわからず正直参っていると瑠璃子に本音を漏らします。
神田は自分の知らないところで苦労しているんだな…と瑠璃子は考え、提案をします。
相貌失認のことを周りに知ってもらったらどうか…と。
打ち明けてしまえばコソコソする必要もなくなるからと話す瑠璃子に、その通りだと同意しながらも神田は自分は教師だから他の生徒やその保護者への影響を考えると受け入れてもらえるかわからない…と躊躇している様子。
そこへマジックショーの準備のため白河がやってきます。
白河は廊下で2人の話を途中から聞いていたようで少し誤解をしている様子です。
神田のことを傷つけてしまったのは…?
いよいよ神田と白河のマジックショーのステージが始まります。
瑠璃子と七実に加えて何故か手伝いに駆り出されている小西くんはステージの準備を進めています。
幕が開く直前、舞台に2人で並ぶ神田と白河でしたが、先ほどの瑠璃子と神田の会話を聞いていた白河は「女子生徒とは適切な距離をとった方が良い」と瑠璃子と親密にしていることを注意します。
これは神田のためだと言う白河。
神田は過去に両親が離婚した際に「野光のために」と言われたことを思い出し、自分のためというより自分のせいなのでは?と感じたことを思い出し白河に「それは本当に僕のためですか?」と問いかけます。
これに白河は「その答えはズルい」と言うのです。
ステージの幕が上がり照明に照らされますが、ズルいと言う言葉にトラウマがある神田は放心状態で子どもの頃の出来事を思い出していました。
…神田の過去
神田は相貌失認のせいで両親の顔も分からなくて、それに対して両親の対応は冷たいものでした。
学校で酷いいじめを受けていたこともあったが両親にそれを訴えてもまともに取り合ってくれなかったのです。
いじめが原因でケガをしても気を引くためにやっていると言われてしまい、「ズルい子」と言われてしまうのです。
だから神田は自分が人の顔がわからないからいけないんだと、自分のせいなんだと自分自身を責めるようになったのです。
だから神田にとって「ズルい」と言う言葉は過去の傷をえぐる言葉というわけです。
白河の言葉で過去のトラウマがフラッシュバックしてしまいステージ上で冷や汗をかきながら崩れ落ちてしまう神田。
神田の様子に気が付いた瑠璃子が咄嗟に照明を落として幕を閉じます。
瑠璃子も七実も神田に駆け寄ります。
しかし、とてもステージが続けられる状態ではない様子の神田を小西くんが保健室に…と連れ出します。
その間、なんとかステージをつなげるために奔走する瑠璃子たち。
急遽、七実が神田の代わりにマジックショーをすることになり素早く準備を始めます。
そこへ神田を保健室に連れて行ったはずの小西くんが戻ってきました。
神田は自分よりステージを手伝うようにと小西くんを返したようです。
しかし、瑠璃子が気になるのは神田のことです。
ステージは残りのメンバーに任せて神田のことを探す瑠璃子。
見るからに神田の様子がおかしかったため急いで神田を見つけようと瑠璃子は駆け回ります。
神田が1人になれそうなところを回り、瑠璃子は地学準備室に辿り着きました。
そこで机に向かって座っている神田を見つけます。
瑠璃子に気が付いた神田はマジックショーがどうなったかと気にしている様子。
白河と七実、そして小西くんが上手くやっていると瑠璃子は答えます。
トラウマがフラッシュバックしたことで思わずステージから逃げてしまった…と自分は「ズルい」と自分を責める神田。
神田の目には涙が…。
ここで瑠璃子は前に神田に向かって「ズルい」と言ったことを思い出します。
神田のこころには「ズルい」と言う言葉がずっと残っていたんです。
神田のことを傷つけてしまったのは自分の言葉だと気が付いた瑠璃子も目に涙を溜めています。
1人にしてほしいと神田に言われて立ち去ろうとした瑠璃子でしたが、神田の悲し気な背中を見て思わず神田のことを背中から抱きしめるのです。
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青に、ふれる。 10話の感想
「ズルい」と言う言葉は思いのほか神田の心に深い傷を残してしまっているんですね。
瑠璃子との地学準備室での会話を聞いていた白河は、2人が特別な関係だと言うことを違う意味で感じてしまって神田のためにと注意をしました。
で、「ズルい」と言い放ってしまって…神田は過去のトラウマがフラッシュバックしてしまったと。
神田の両親はなんで子どもに寄り添ってあげなかったのかと思いますね。
虐められて救急車で運ばれるような怪我したのに「気を引こうとした」とか言うなんて。
もし仮にそうだとしても怪我したらあんな言い方しないでしょうに。
たぶん神田が「ズルい」と言われたのはこの時だけじゃないでしょうけど、大本はここかなと予想します。
神田にとって光のような存在である瑠璃子から「ズルい」と言われたことは、思っている以上に深く傷をえぐった形になったのでしょうね。
それで、学園祭の人の多さで精神的に参った状態で白河からも「ズルい」と言われて…これはキツイですよ。
神田のことを心配していたのに神田の様子がおかしい原因が自分が言った「ズルい」って言葉だったと自覚して涙を浮かべる瑠璃子。
あの時は瑠璃子自身も精神的にやられていた時だったとはいえ、後悔しかなくなりますよね。
そして、思わず神田のことを抱きしめる瑠璃子…ここからトラウマをどう乗り越えていくのかが2人の課題になっていくんでしょうか…。
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