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Contents
私たちはどうかしている 8巻とは?
出版社:講談社
発売日:2018/12/13
作者 :安藤なつみ
新章開幕。
光月庵の火事から10ヵ月。
意識不明の重体だった椿もようやく回復。
行方がわからない七桜を探し回るが、一向に見つからず焦燥感だけが増してゆく。
そんな椿のもとに足繁く通ってくる長谷屋の栞は、ある決意を胸に秘めていた。
一方、傷が癒えた七桜もまた多喜川の力を借りて立ち上がる。
背負わされた重い運命は、愛と復讐の歯車を思わぬ方向へと導く!!
私たちはどうかしている 8巻のネタバレ
37話 赤の目覚め のネタバレ
牡丹の御菓子
あの火事の後、椿が目覚めたのは10日後だった。
それから10ヶ月後、椿は新しい取り組みとして光月庵で御菓子作りの教室を始めていた。
有名な光月庵で御菓子が作れるという評判から、若い女性が多く参加していた。
激しい雨の降る日、御菓子教室には誰も来ないだろうと思っていた椿だったが、そこへやってきたのは元結婚相手の栞だった。
その日の御菓子は牡丹の花をモチーフにしたものだった。
あの火事の後、栞は左頬にやけどを負っていた。
燃え崩れる家屋から椿をかばったためにできた傷だった。
そんなことを思い出しながら、椿は栞が作る牡丹の花の和菓子に濃い赤を付けていることに気付く。
栞は派手な姉二人を持ち、いつも目立たない地味な存在だった。
そんな印象を挽回するために、濃い赤色を好むようになっていたのだ。
黒い皿によく映える栞の御菓子に、俺は結構好きですと微笑む椿。
その端正な顔つきにお見合い結婚をする予定の栞は心が揺れるのだった。
栞の結婚
栞が住む長谷屋では、栞の結婚相手の家族が挨拶に来ていた。
親に言われてこの日は赤ではなく淡い着物を着ていた栞。
栞の両親は頬にやけどを負った栞を受け入れてもらえることに深く感謝する。
結婚相手の家族は栞には家を守ってもらいたいと、栞を家からあまり出さない方針を告げる。
自分の意見なしに話が進んでいく様子に、栞の心は沈んでいく。
新郎から幸せにしますと言われた栞は、よろしくお願いしますと返さなければと思うも言葉が出てこない。
栞の頭には、椿の笑顔があった。
そして栞は頭を下げて私は結婚できないと謝罪するのだった。
どうしても欲しいものがあると言う栞の顔は、強い決意が感じられた。
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38話 茨の道へ のネタバレ
七桜の面影
大旦那は事件以来、昏睡状態に陥っていた。
大旦那の見舞いに来ていた椿は、病室に自分が差したのではない花が置かれていることに気付く。
椿の頭には、七桜が浮かんだ。
とっさに病室から飛び出る椿。
急いで追ったものの、七桜の姿を見ることはなかった。
大旦那の病室に生けられた花は遅咲きの桜だった。
栞の決意
栞は両親に連れ出され、父親に頬を叩かれる。
父親はこの縁談を進めるためにどれだけ苦労したか分かっているのかと大声で怒鳴った。
そして無理矢理謝りに行かせようとする父親を、栞はドンと突き放す。
何の取り柄もないからお前は早く嫁に行くのが良いという父の言葉を信じ続けてきた栞だったが、私を自由にしてくれと父親に頼み込んだ。
気弱な栞が見せる真っ直ぐなまなざしに、栞の父親は原因が椿であることを察する。
愕然とした父親は栞にこの家を出て行けと告げる。
栞は両親に深く頭を下げた後、屋敷を出るのだった。
居場所を失った栞は菓子屋を転々とするが、どこも取り合ってもらえずそのまま夜になってしまった。
河原で寝袋を敷き眠る栞に、泥棒が近付いていた。
がさがさという音で目が覚めた栞は、キャリーケースをあさる泥棒を見つけ荷物を取り返すため揉み合いになる。
そして泥棒が拳を振り上げ、もうダメだと栞が諦めた次の瞬間、椿が現れた。
椿は圧倒的な強さで泥棒を追い払った。
落ち着いた栞は、結婚が破談になったという事情を説明し光月庵で働かせて欲しいと頼み込む。
迷う椿だったが、自分のことを諦めたくないと語る栞を光月庵に招き入れる。
嬉しさのあまり涙をこぼす栞は、死ぬ気で頑張ると誓った。
そして、同時に椿のそばにいるために自分の恋心を隠し続けなければならないことを悟る栞であった。
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39話 3回目の秋 のネタバレ
昔の恋人
あの火事から3回目の秋を迎えていた光月庵では、栞が看板娘となりつつあった。
客とのコミュニケーションをとる中で客の信頼を得る栞を目当てに店に来る人も少なくなかった。
それを聞いた椿は、頼もしいなと職人たちと噂する。
大旦那の代わりに全ての仕事をこなす椿は忙しさのあまり、御菓子を作ることが少なくなっていた。
次の選考会に出す御菓子も、職人の山口に任せられた。
椿が厨房を出るのと入れ違いのように店の片付けを終えた栞が入って来た。
洗い物を手伝うという栞に、城島は仕事を取らないでくれるかなと笑顔で断る。
城島は職人ではない人に厨房に入って欲しくないという考えを持っていた。
なかなか受け入れてもらえない栞は落ち込んでしまうも、仕事のやりがいを感じている栞は心を改めて頑張ろうと奮起する。
その夜、栞は椅子に座り眠ってしまった椿を見つける。
椿の寝顔を見て、栞はいつも凜とした姿しか見せない椿が本当はとても疲れているのではないかと心配になる。
椿のそばに来た栞は、椿の羽織る着物がほつれていることに気付き、裁縫を始める。
物音で目が覚めた椿は栞から早く寝てくださいと勧められるも、もう少しここにいると月を眺める。
椿がそばにいてくれることを嬉しく思う栞。
一方で椿は今頃七桜が何をしているのかを想像していた。
七桜が消えてから3年が経つが、今でも椿は七桜の表情を思い出すことができる。
毎日楽しそうに御菓子を作る七桜を想像しながら、幸せにやっているんだろうと思いを馳せる椿。
そして、6歳の頃から過去に縛られている椿とは対称的に幸せでいるだろう七桜を思い、自分も前に進まなければならないと椿は決意する。
次の日屋敷で会った栞に対し、椿は今度新しい着物を選んでくれないかと頼んだ。
それは椿が栞をデートに誘う文言だった。
出かける途中、記者だという男に声をかけられる椿。
その記者は3年前の火事の真相を知りたいという。
加えて記者が言うには18年前の事件についても、調べたら面白いことがわかるという情報提供があったという。
突然のことに椿は言葉を失う。
七桜との再開
一方でバスを待っていた栞は、トンボを持っていた少年とぶつかってしまう。
トンボが飛んで行ってしまったために泣きわめく少年。
栞が泣き止ませようと焦っていると、そこへ黒髪の女性がやって来てトンボの柄が描いてある御菓子を手渡した。
機嫌を取り戻した少年は嬉しそうに笑う。
その御菓子を見て、栞はその女性が七桜だということに気付く。
栞は去ろうとする七桜の手を掴んで引き留めるのだった。
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40話 花がすみ のネタバレ
負ける気がしない
七桜を引き留めた栞は七桜を喫茶店に誘った。
元気そうで何よりですと微笑む七桜は、以前に比べ雰囲気が変わっていた。
今までどうしていたのかという問いに、七桜は東京の菓子屋で修行をしていたと答える。
そして、ちょうど3ヶ月前に金沢に戻って自分の店を構えたところだった。
七桜は栞が結婚したのだと思っていたが、結婚が破談になって今は光月庵で働いていると知り栞が看板娘なら客も喜ぶだろうと微笑む。
栞は椿のことを何も思っていないような七桜の態度に、栞はなぜわざわざ光月庵の近くに店を構えたのかと尋ねる。
七桜は、今の光月庵に負ける気がしないからと淡々と答える。
光月庵で売られている御菓子のほとんどは椿が作っていないことを七桜は知っていた。
一番美味しくて美しい御菓子を出すという使命を光月庵は放棄していると七桜は考えていたのだ。
たまらず立ち上がる栞は、そんなことないと反論する。
光月庵は立派な誇れるお店だと伏し目がちに告げ、栞は店を出て行った。
雨の中、花がすみで七桜を待っていた多喜川はびしょ濡れで帰ってきた七桜を見て驚く。
七桜は栞に会い心の内は動揺していたのだった。
思い出したくないことを押し込めるように拳を握りしめる七桜を、多喜川は抱きしめる。
七桜は子ども扱いしないでくださいと多喜川から離れ、厨房に入っていった。
夢を叶えるまでには、泣くわけにはいかないのだと七桜は長い黒髪を束ね作業を始めるのだった。
七桜に会ったことをなかなか椿に言い出せない栞。
そこへ、五月雨亭から椿が帰って来た。
そこで女将は五月雨亭の茶会で出す御菓子が光月庵ではなく花がすみという七桜の店に決まったことを知り、激怒する。
常連になんと思われるか気が気ではない女将に、五月雨亭の新春園遊会の御菓子はまだ決まっていないという椿。
来週開催される選考会に、椿は自分の手で作った御菓子を出すと決めていた。
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41話 選定会 のネタバレ
野望
七桜は連日夜遅くまで御菓子の試作に明け暮れていた。
七桜の本当の野望は、光月庵を乗っ取って七桜のものにすることだった。
光月庵で見つけ出した母親の菓子帳に載っていた御菓子を、七桜は光月庵の名前で売り出そうと心に決めていた。
事件の真相は未だ分からないが、それが七桜にできる母親への恩返しだと七桜は考えていたのだ。
一方で光月庵でも椿が作った御菓子の試食が行われていた。
すすきの穂を描いた和菓子に一同は感心するも、栞はなんだか物足りなさを感じる。
そして五月雨亭の菓子を乗せる皿は白磁のものだったことから、もう少し濃い色の御菓子を提案した。
御菓子のデザインを変えることにした椿は散歩の途中で水たまりに浮いた葉を見つけ、何かをひらめいた。
厨房に帰りそのアイデアを試作しているところに、栞がやって来た。
手伝えることはあるかと言う栞に、椿は休んでくださいと答える。
その時椿は御菓子作りに使う道具を落としてしまうも、拾おうとして動きを止める。
そして栞に道具を拾ってもらうよう頼むのだった。
翌日完成した椿の和菓子は二つの月と名付けられ、透き通る寒天を水面に見立てた美しい仕上がりだった。
厨房のスタッフが賞賛する中、城島だけはこんな素晴らしい御菓子が作れるのにどうして店の御菓子をもっと作らないのかと嘆いていた。
選定会当日
選定会では店名を伏せて試食を行い、選定員の投票により菓子屋の指定が決まるということになっていた。
五月雨亭にできあがった商品を持って行く椿。
花がすみという菓子屋も選定会に参加していると聞き、椿は七桜のことを思い浮かべた。
七桜はいったいどんな御菓子を作るのかと考えていると、突然椿はめまいに襲われる。
同じ時、七桜は庭で選定会の結果が出るまで五月雨亭に残ると多喜川に連絡をしていた。
五月雨亭の広い庭を散歩していたとき、七桜は大木にもたれかかる椿を見つけて呆然とする。
しかし七桜は表情一つ変えず椿のそばを通り過ぎ、そして振り返った。
光月庵の正式な後継者であるという自負が七桜にはあった。
目が合う七桜と椿。
しかし、椿の様子がおかしい。
目が合っているはずなのに、誰かいるのかと尋ねる椿。
実は、椿の目はほとんど見えなくなっていたのだ。
よろけた椿を助けようとする七桜の手を払いのけ、椿はすぐ治るので大丈夫ですとその場を去って行った。
電子特典おまけ漫画 のネタバレ
納豆ご飯
食事の席で大旦那を怒らせた後二人きりになって食事をとる七桜と椿。(二巻参照)
納豆をご飯にかけて食べる七桜を見て、椿は美しくないと注意する。
しかし、納豆ご飯の美味しさを力説して反論する七桜。
椿は七桜の言葉にかぶせるように納豆ご飯は納豆への冒涜だという理由をつらつらと言う。
それにイラッとした七桜は醤油を納豆ご飯に大量にかけ、腕全体を使って納豆ご飯を練り回していく。
醤油をかけすぎて食べたときに咳き込む七桜を見て、こんなことでムキになる七桜を可愛いやつだと一人きゅんとする椿であった。
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私たちはどうかしている 8巻の感想
ついに第二部の開幕ですが、あまり良い雰囲気ではなさそうです。
七桜は火事の後、全てを捨ててもう一度始めから御菓子作りをやり直すという選択肢を選びました。
この過程で事件の真相を明らかにしたいというよりも、母が残した菓子帳に載っている菓子を光月庵の名前で販売したいと思う気持ちが高まっていきます。
母の作る御菓子は、七桜への愛の形。
それに気付いた七桜は、光月庵を乗っ取る計画を徐々に進めていきます。
その一つが、五月雨亭の茶会へ御菓子を出す権利を光月庵から奪い取ることだったのでしょう。
一方で椿は昏睡状態の大旦那の見舞いに加え、営業や会計など様々な行事に忙しくなかなか店に出す御菓子を作っていませんでした。
七桜は、偶然会った栞にそれを指摘します。
そんな七桜は以前よりも芯の強い女性に見えましたが、昔のように笑うことは少なくなったようです。
大人になるとはこういうことなのでしょうか。
また、椿のそばには七桜ではなく栞が付くようになります。
おっちょこちょいだけど純粋で優しい心を持つ栞は、光月庵の看板娘として客の信頼を得てきました。
愛くるしいキャラクターが伝わってきて、なんだか栞を見ていると笑顔になってしまいます。
そんな一生懸命な栞を見て、椿は七桜のことを乗り越え栞とともに生きていく決心をします。
個人的には多喜川の七桜に対する言動に、恋の歯車が回る予感がしています。
最後のシーンでは、なんと椿と七桜がはち合わせる場面が。
しかし、椿の視界は曇っていてそれが七桜とは分かりません。
椿は御菓子を作らなかったのではなく、作れなかったのではないか。
そんな七桜の想像で幕を閉じた第8巻。
まだまだ続きが見逃せません。
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