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Contents
僕の初恋をキミに捧ぐ 11巻とは?
出版社:小学館
発売日:2008/4/1
作者 :青木琴美
移植を悩んだ末にやめた逞は、繭の自宅でふたりきりの時間を過ごす。学校を辞めて家に戻ることを決めた逞だったが、繭は逞の命を救う方法を必死で探していた…。
僕の初恋をキミに捧ぐ 11巻のネタバレ
57話 準備 のネタバレ
家族の決意
繭は逞の腕の中で泣いた。
ごめんな…と逞は繭を抱きしめる。
一方、昂の病室では昂の手がピクンと動いた。
看病していた家族は昂が目を覚ますのではないかと期待したが、それは脊髄反射だと医者は言う。
涙を流すこともあると聞いた昂の母親は、律にもたれかかった。
律は母親を抱きしめて、医者や五十嵐に対して病室を出るように言うのだった。
そして律は母親にひざまずき、正直に言っていいんだよ?と聞いた。
昂はまだ生きていると思うんだろ?と聞かれた母親はハッとした顔で律を見た。
そしてうなだれて、母親は泣き始めた。
ドナーカードを持っていたのは昂の意思だが、昂も20歳で死ぬとは思っていなかっただろうと律は言う。
そして臓器移植は、誰に移植されるのか教えてもらえないのが一般的なルールだけど、なぜそんなルールがあるのか今回のことでよく分かったと律は言う。
逞は昂のことがとても好きなはずなのに全然見舞いに来ない。
きっとそういうことなんだと、律は言うのだった。
そんな中、逞は繭とともに病院を出ていた。
逞が過ごしていた病室のベッドには、手紙と寝巻きが丁寧にたたまれて置かれている。
その手紙には、僕には心臓移植はできないと書かれてあった。
本当は逞の両親にも手紙を書いたのだが、うまく書けなくて破いてしまった。
タクシーに乗り込む繭と逞。
繭は少し泣いていた。
2人が向かった先は、繭の家だった。
繭の両親は今夜帰ってこないので、今夜は2人で過ごすことにした繭と逞。
繭はエプロン姿で晩ご飯を作る。
そんな姿をいちいち写真に収める逞を見て、繭は逞の意図に気付いて気付かない振りをした。
その夜、一緒にお風呂に入る繭と逞。
俺、昔から一緒にお風呂入ってみたかったんだと、逞は言う。
そんな逞に対して、繭はやめて…と言うのだった。
そんな思い出を作っているみたいなことはやめてと、繭は震える声で言った。
死ぬ準備を始めないで、と繭は心の中で必死に訴えていた。
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58話 わがまま のネタバレ
思い出作り
病室では逞の両親が手紙を読んでいた。
逞の母親は涙を流している。
そしてそれに追い討ちをかけるように、医師から連絡があった。
それは昂の家族が移植を拒否したということだった。
逞の母親はもはや涙も出なかった。
次の日の朝、繭は髭剃りを片手に逞を起こした。
繭は逞の髭を剃るのが夢だったのだ。
結局私も思い出作りをしているじゃないかと思った繭だったが、そんな思いは顔には出さず、繭は髭を剃り始める。
優しくしてください…とお願いする逞はとても可愛かった。
逞の頬に刃を当てる時、繭はちゃんと覚えていようと思った。
きっとこんなことは、他の男にも絶対にしない。
一生に一度、逞のだけ…と思っていたら、逞がおい!と声を出した。
逞の頬が少し切れてしまったのだ。
不機嫌になった逞だったが、繭はマニキュアを取り出して逞に好きな色を選んでもらった。
そしてそれを足に塗ってもらう繭。
そんな時間が、2人にとってはかけがえのないものだった。
2人は満員電車の中ある場所へ向かっていた。
電車の中で、繭はキスをして欲しいとおねだりする。
しかし逞は他の人に繭がキスをしている顔を見せたくないと言うのだった。
繭がしゅんとしていると、逞はうつむく繭の顔を上げてキスをした。
繭は嬉しそうに笑った。
そして新学期が始まったら皆が見ているところでキスしてねと言うのだった。
みんなに覚えていて欲しいの!と繭は言う。
目的の駅につき繭は大勢の人に混じって降りたが、逞の方を振り返った時の繭は少し泣いていた。
そんな繭を見て、逞は少し悲しくなるのだった。
繭は逞に向かって、今日最後のワガママを発表した。
それは、逞が繭の両親に対して、お嫁さんを僕にくださいと言うことだった。
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59話 不愉快 のネタバレ
母の怒り
2人の目的とは、病院へ戻って心配しているだろう逞の両親に会いに行くことだった。
逞は怒られるだろうと思っていたが、実際はそうではなかった。
繭と手を繋いでいた逞を冷徹な目で見たのは逞の母親だった。
逞の父親は、りんごでも食べるか?と言ったが、たまらず病室を出て医師を呼んでくる振りをした。
父親は今までの逞の闘病生活を振り返っていた。
ドナー提供が決まり、両親は本当に喜んだ。
何回もお参りに行って感謝を伝えたのだ。
やっと運動をさせてあげられると、両親はウキウキしていた。
小学校の時からずっと見学だったから、逞は嬉しいでしょうねと母親が言う。
しかしドナー提供は断られ、心臓移植はできなくなった。
父親はどこにもぶつけることができないその悔しさに、涙を流すのだった。
一方の病室では、母親が逞に向かって、悲しいわと一言こぼした。
逞はその言葉がズンと体の底に響くのが分かった。
そして母親も、病室を出て行った。
逞の父親が泣いていて、母親が泣かないことは逞にとって、とても苦しい出来事だった。
どうして僕は誰かを悲しませることしかできないんだろう。
僕は何のために生まれてきたんだろう。
逞はそれを考えていた。
逞の母親を追って病室を出ていた繭は、母親を引きとめた。
その声に反応した母親は、どうして心臓移植をしろって逞に言わなかったの?と聞いた。
もしもあなたが本当に逞のことを好きなら、どんな手を使ってでも逞を止めたはずよ!と母親は取り乱した。
今まで我慢していた涙が溢れる。
繭は何も言えずに黙っていた。
母親は、繭に逞を返してと言う。
私ね、繭ちゃんのこと嫌いなの。
母親は繭に対して面と向かってそう言った。
繭のせいで逞は12で家を出て行った。
繭のせいで発作を起こしたことも数え切れない。
そして繭が止めてくれたら、心臓移植は行われていたかもしれない。
うなだれる母親を見て、繭はどうすることもできなかった。
そこへやって来たのは逞だった。
そうしたら母さんは嬉しいの?と逞は言う。
そんな逞に、母親は嬉しいわ…!と涙をこぼすのだった。
逞は繭の手を握りながら、ごめん繭…と心の中で念じた。
そして逞は学校を辞めて家に帰ることを決めるのだった。
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60話 可能性 のネタバレ
諦めない
繭は家でシャワーを浴びながら、考えていた。
自分がやって来たことは間違いだったのか?
しかし繭はあることに気付く。
皆、いつの間にか逞が大人になるのを諦めているのだ。
それは逞でさえも、繭には諦めているように見えた。
逞の家では、逞の母親が嬉しそうにしている。
逞がずっと家にいることを知って、母親はとても幸せな日々を送っていたのだ。
一方の逞は、家にいるのが落ち着くと感じながらも、何か物足りなさを感じていた。
俺はこのまま死んでいくのだろうかと、逞が自分の部屋で空を見上げていた時、そこへやって来たのは繭だった。
逞をさらいに来ましたとピースする繭に、逞は帰れとだけ言うのだった。
母さんに見つかる前に、帰れと逞はもう一度言った。
そんな逞に、繭はゲンコツをする。
繭には逞がもう死ぬ準備をして、生きるのを諦めているように思えたのだ。
心臓移植はしなくていいと言ったけれど、生きるのを諦めていいとは言っていない!と繭は大声で叫ぶ。
心臓移植以外にも助かる方法は必ずあると、繭は断言した。
絶対に私が方法を見つけると、繭は逞の目を見て言った。
助かるって、信じて?と言い、繭は逞の胸にある手術跡にキスをした。
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61話 希望 のネタバレ
新たな治療法
逞の母親は上で物音がすることに気付き、二階へ上がった。
部屋からは生きるのを諦めていいとは言っていない!と言う繭の声が聞こえる。
ドアを開けると、繭が逞の胸にキスをしていた。
いい加減にしてちょうだい!と母親は叫んで繭と逞を離した。
繭は震えた声で、逞を連れ戻しに来ましたと言う。
逞の母親は思わず繭の頬を叩く。
それでも繭は、逞がどうして学校を辞めないといけないのかが分からないと言うのだった。
そこへやって来た父親は、状況を察した。
分かった、と呟いた父親。
父親は繭に対して今日は帰ってくれないかと頼んだ。
それを素直に受け入れる繭。
繭は自分の無力さに涙をこぼしながら部屋を出て行った。
死に呑み込まれずに、逞と生きていく未来をがむしゃらに信じ続ける。
繭は何度もそうやって繰り返し、自分に言い聞かせた。
急いで家に帰った繭は、逞の主治医でもある父親に、逞が助かる方法はないのかと尋ねる。
考え込む父親に、私が医者になって逞を救うまで、病気は待っててくれると思う!?と聞いた。
父親は首を横にふる。
繭は絶望して涙を一筋流した。
しかし父親は立ち上がって、ある書類を取り出した。
方法はある、と父親は言う。
心臓移植以外の治療法が、見つかったんだと父親は言うのだった。
彼は行けもしない甲子園を目指す のネタバレ
蜂蜜レモン
佐藤珠美は正直ブスだ。
そう思っていたヒカルは、女の子に囲まれて今日も困っていた。
そんな珠美は屋上にヒカルを呼び出してはミカンやクリームパンを渡す、少し変わった女の子だった。
俺のことが好きならさっさと告白しろよと思うヒカルだったが、珠美の言動が面白くてヒカルはずっと観察していたのだ。
毎日のように呼び出しては何も言えずに赤くなってうつむくところが何だか気になっていたヒカル。
ついにヒカルは観念して、仕方ないから付き合ってやるよと言うのだった。
しかし珠美はその申し出を拒否した。
実は珠美の目的は、ヒカルと付き合うことではなかったのだ。
珠美は野球部のマネージャーをやっていて、ヒカルと同級生の関口がどうしてもヒカルを入れたいと聞かないので、珠美が賄賂を送っていたのだ。
ヒカルは小学生の時まで野球をやっていたが、高校では帰宅部だった。
関口は昔からヒカルの才能に惚れ込んでおり、珠美にお願いしてヒカルを野球部に入れるように仕向けたのだ。
仕方なく野球部に入ることにしたヒカル。
練習終わり、蜂蜜レモンを差し出す珠美に俺は蜂蜜アレルギーだと嘘をつくヒカル。
その度に反応する珠美が面白かったのだ。
関口くんは好きなんだけどな…とつぶやく珠美に、ヒカルはピンと来た。
珠美はきっと関口が好きなのだ。
ヒカルはなぜだかイライラした。
その後も珠美と関口は一緒に帰ったり少し距離が近かったりと、ヒカルは2人が付き合っている証拠を集めて行った。
そしてヒカルは野球に興醒めてしまい、部活を辞めると言い出した。
部室から去ろうとするヒカルを珠美は追いかける。
賄賂出せよ…と言うヒカル。
珠美は何も持っていなかったが、次の瞬間ヒカルは珠美に無理やりキスをした。
ヒカルは珠美をジッと見上げる。
珠美は何も言うことができなかった。
甲子園の予選当日、辞めると言ったはずのヒカルが来た。
ヒカルは珠美のことが好きだと自分で気づいた。
そしてヒカルは珠美と、甲子園に行けたら珠美のことを好きでもいいかと聞いた。
珠美はうなずき、試合が始まる。
結果は惨敗だった。
ヒカルは恥ずかしさと悔しさで、珠美からもらった蜂蜜レモンを食べながら泣き出してしまう。
そんなヒカルに、負けた責任として私と付き合ってと言う珠美。
実は関口は珠美の親戚で、付き合ってなどいなかったのだ。
珠美はとびきりの笑顔で笑った。
そんな珠美に、ヒカルはそっとキスをするのだった。
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僕の初恋をキミに捧ぐ 11巻の感想
何と、逞は昂からの心臓移植を断ってしまいます。
やはり知り合いから心臓をもらうというのは精神面のハードルがかなり高かったのでしょう。
その決断をした逞、そしてそれを受け入れた繭は、誰よりも大人に見えました。
そしてその後から、繭は逞の家族に対して不信感を感じます。
皆、逞が大人になることに対して諦めているのです。
私だけは絶対に諦めないという堅い意志のもと、繭は父親に他の治療法はないかと聞きます。
すると父親はある書類を片手に、新たな治療法が発見されたと言いました。
この治療法で逞は心臓病を克服することができるのでしょうか。
次巻の展開に、目が離せません。
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